蜜月なカノジョ(番外編追加)
ピリリリリリリッ! ピリリリリリリッ!
次の瞬間、突然響き渡った電子音に意識が一気に現実へと引き戻された。
その音の正体。着の身着のまま飛び出した私が唯一所持していたもの。
それは…
『いーい? いつどこで何があるかわからないの。私が傍にいるときは守ってあげられるけど、もし万が一離れてるときに何かあっても大丈夫なように、携帯だけは鞄に入れずに必ず肌身離さず持っておきなさい。あって欲しくはないけど、もしも何かがあったらすぐに私を呼べるように。いつでもどんなときでも必ず、絶対に助けに行くから』
「…………う゛っ…」
受け入れたくない現実で頭が一杯ですっかり忘れていた。
家を飛び出した直後から、ずっとこの音が鳴り続けていたということを。
ピリリリリリリッ! ピリリリリリリッ! ピリリリリリリッ!
「うぅっ…ナオさ……ナオさん、ナオさぁ゛んっ…!」
『 いつでもどんなときでも必ず、絶対に助けに行くから 』
鳴り続ける電子音がまるでそう訴えかけているようで、わんわん号泣しながら私の体は、心は、無意識に動いていた。
壊れた機械の様に、ただただナオさんの名前を呼びながら。