蜜月なカノジョ(番外編追加)

「えーーっ、そうなんだっ? どんな人? どんな人?!」

中でも恋バナが大好物の女の子の食いつきは殊更すさまじい。

「あ、あの…カッコ良くて、すごく優しくて…人として、すごくすごく、尊敬できる人ですっ…!」

顔を真っ赤にしながらも必死に言い募った私に、そこにいた全員が意外なものを見たとばかりに驚き、やがてきゃーっと沸き上がった。

「すごーい! 男の人と全然絡まない杏さんからそんな言葉が出るなんて!」
「そこまで言わせる彼氏に会ってみた~い!」
「うんうん。ほんとにその人のことが好きなんだねぇ」

自分でも信じられない。
彼氏ができるだけでも信じられないのに、よもやこんなお惚気ともいえることを人前で口にするなんて。

それでも、ナオさんとの幸せな時間を絶対に失いたくはないから。

「は、はい、大好きです…!」

そのためにはもっと私が強くなることだって必要なんだ。

「…な、なんか自分が告白されてる気がして照れるんだけど」
「うん。すっごく暑くなってきたわ」

パタパタと顔を仰ぎだした面々に、途端にカーーッと顔に血が上っていく。

や、やっぱりやり過ぎた…?

「そっかそっか。小笠原君には気の毒だけど、そーんなに幸せそうな杏さん見たら入り込む隙なんてないって嫌でもわかるよね。大丈夫大丈夫、彼を狙ってる子も多いみたいだし、そのうち彼女もできるって。それとなく杏さんにはラブラブ彼氏がいるって言っといてあげるから」
「あ、ありがとうございます…!」

是非是非そうしてくださいっ!

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