蜜月なカノジョ(番外編追加)

「…もうばればれだと思うけど、俺、丸山のことが好きなんだ」

迷うことなくはっきりと告げられた言葉に、ヒュッと喉の奥が鳴った。
それと同時に金縛りに遭ったように動けなくなる。

それほどに、彼の目が真剣だったから。

「というか高校の時からずっと好きだった。あの時だって、自分の気持ちを抑えられなくなってキスなんかしちまって…。嬉しくて爆発しそうな一方で、男嫌いな丸山の意志も無視してやってしまったことに後から猛烈な罪悪感が襲ってきて。翌日にはちゃんと話をしなきゃと思ってたところであんなことになってて…それでパニックになった俺は…」
「……」

あぁ、ほら。やっぱり聞かない方がよかった。
そんな苦しげに顔を歪めて告白なんてされたら、それが冗談だなんて笑って言えなくなってしまう。
だから聞きたくなどなかったのに。

…それでも、私が彼に言えることはただ一つだ。
ちゃんと、逃げずに真正面から伝えなければ。

「卒業してからもずっと丸山のことは頭の片隅に存在していて。ボヌールで再会できたときには運命だと思った。だから、あの時のことは誠心誠意謝って、ここからまた新しい関係を築いていけたらって」
「……小笠原君、私ね____」



「 杏 」



口を開きかけたところで耳を撫でた心地いい声に、私はぱっと振り返った。

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