蜜月なカノジョ(番外編追加)

「ごめーん、遅くなっちゃったぁ~!」

あわあわとしていたちょうどその時、ガラッと襖が開いて朝と少しも変わらない美しさを保ったままのナオさんが登場した。

「あっ、オーナー、お疲れ様です~!」
「お疲れ~! 皆楽しんでる?」
「それはもう! オーナーもこちらにどうぞどうぞ!」

綺麗で優しくて仕事もできるナオさんは当然のように従業員からの信頼も厚く、満を持しての登場に、性別関係なく全員が喜んでいる。
中に入ってきたナオさんが私に微笑みかけたのは…きっと気のせいなんかじゃない。

「オーナー! 今日はぜひこっちに座ってくださぁ~い!」

そんなナオさんを一際大きな声で呼んだのは、他でもない私の隣でできあがっている女の子だ。他の場所に誘導されていたナオさんがこちらを振り返ると、ニコッと満面の笑みを浮かべて「いいわよ~」と方向転換した。

「あーあー、あのラッキーと言わんばかりの顔。わっかりやすいわねぇ…」

ぼそっと隣から聞こえてきた葵さんのぼやきに恐縮しつつも、内心私も大喜びしているだけにごめんなさいと心の中で謝っておく。

「お疲れ様」
「お疲れ様です~! やったぁ、オーナーの隣で飲めるの初めてで嬉しい~!」

キャッキャと喜ぶ女の子の隣にできたスペース、私とはその子を挟んだ反対側にナオさんが腰を下ろす。
真横じゃなかったことにちょっとだけがっかりしつつも、すぐ近くに来てくれたことへの喜びの方が大きかった。

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