蜜月なカノジョ(番外編追加)
「すっかりできあがっちゃって。楽しそうねぇ~。杏ちゃんもお疲れ様」
「は、はいっ、お疲れ様ですっ!!」
速攻で声を掛けられて思わず声が上擦ってしまった!
「あ、あの、こちらどうぞ…!」
「あら、ありがと~」
平常心を取り戻そうとグラスを差し出してビールを注いだはいいものの、尋常じゃないくらいに手が震えてしまって今度は零しやしないかと気が気じゃない。
くくくっと肩を震わせて笑いを堪えているナオさんをじろりと一瞬だけ睨んでおいた。
「オーナー、今日は珍しくパンツスーツなんですね~?」
「あぁ、ちょっとね。似合わない?」
「ぜーんぜん! 初めて見ましたけど、めっちゃくちゃかっこいいです!」
「うふふ、ありがと」
ナオさんを見るキラキラした目は、さながら宝塚スターに憧れるそれと同じだ。
わかるなぁ。ナオさんのヒミツを知るまでは私も全く同じだったもん。
「それはそうと! 杏さん、さっきの続きはどうなってるんですか~!」
「えっ?」
ナオさんの登場ですっかりなくなったと思っていた話題を引き戻されて、ドキィッと冷や汗が噴き出す。
「今日こそはぜぇ~~ったい教えてもらいますよ~!」
「いや、あの、ちょっと…」
さすがにナオさんがここにいる状況では勘弁して欲しい…!