蜜月なカノジョ(番外編追加)


「あっ…!」

けれど逃げ込んだ先が行き止まりになっていて、それ以上の逃げ場を奪われてしまった。ハッと振り向けば男は実に嬉しそうな笑みを浮かべながらもうあと少しの距離まで迫っている。

「あ…あ…」

ゆらりと暗闇の中から汚い手が伸びてくる。

「鬼ごっこはここまでだよ~」
「な…おさ…」
「ん~? 何を言ってるのかなぁ?」
「なおさ……ナオさんっ…ナオさんっ、ナオさんっ、ナオさぁんっ!! んぐっ…!」
「ちょっ…! 大きな声出しちゃだめだって! お楽しみがなくなっ…ぎゃあっ!!!」

ガッと口を塞がれて、あぁ、もう舌を噛んで死のう…そう思った瞬間、自分にのし掛かっていた圧力が突然消えた。



「…………え?」



「はぁっはぁっはぁっ、てめぇっ…! 俺の杏に何しやがる! ぜってぇに許さねぇ…!」

「まっ、待てっ! 私は何もっ…!」
「この期に及んで言い逃れするつもりか?! いいか、てめぇを地獄まで落としてやるから覚悟しやがれっ!!」


「ひっ…! ぎゃ、ぎゃああああああっ!!!!」

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