蜜月なカノジョ(番外編追加)
「お、おと、おと、こ…?」
ぷるぷると、震える手でナオさんを指差しながらそう言うので精一杯。
その言葉にナオさんは満足そうにニッコリと微笑んだ。
「ご名答。見ての通り俺は男だ。そして杏の彼氏。キスしたって何の問題もないだろ?」
「だろ、って…そんな、一体何を…!」
徐々に頭が冷静になってきたのか、再び小笠原君の怒りに火がつく。
「ふ、ふざけるなっ! 女装して人を騙すなんて、最低だろっ!!」
怒鳴りつけるように吐き出されたその言葉に、私の中の何かがぷつりと切れた。
「最低なんかじゃないっ!!」
突然大きな声を張り上げた私に、小笠原君が虚を突かれたように私を仰ぎ見る。
「…丸山…?」
「ふざけてなんかない! 最低なんかじゃない!! ナオさんは、ナオさんの時も、直斗さんの時も、どんなときだって、心の底から尊敬できる立派な人なの! 見た目なんて関係ない。私はそんなナオさんの人間性に救われた。生きることに何の楽しみも見出せなかった私の光になってくれた。私にとって、かけがえのない、大切な、大切な人なの!!」
ぽろぽろと涙が零れ落ちていく。
それでも止まらない。
「何も知らないのに、見た目だけで勝手なこと言わないで! ナオさんを傷付ける人は…どんな人だって許さないんだからっ!!」