蜜月なカノジョ(番外編追加)
「それでも、自分がこれまで積み上げてきたものに何一つの偽りはなかったと胸を張って言える。ナオだろうと直斗だろうと、私は私で俺は俺。どちらも変わらない、同じ人間なんだって。これからもナオの時もあれば直斗の時もある。そんな俺でも構わないと思ってくれる奴だけ、これからもついてきてほしい。…そして…杏」
「っは、はいっ…!」
突然名前を呼ばれて心臓が跳ね上がる。
振り返ったナオさんがあまりにも真剣な目をしていたから、一体何を言われるのかと途端に落ち着かなくなってしまう。
「こんな俺だけど…杏とはこれからもずっと一緒にいたいと思ってるから」
そこで一度言葉を区切ってフッと目を細めると、ナオさんがジャケットの内ポケットから何かを取り出した。
「…え…?」
ビロードの小さな手のひらサイズの箱。ドラマや漫画でよく見かける既視感のあるその形に、ドクンと胸が大きく音をたてた。
それ、って…
「俺の大事なスタッフの前だからこそ言わせて欲しい。俺は杏を愛してる。これから先も一生愛し続けて、守り続ける。だから…」
ドクンドクンドクンドクン…
「 俺と結婚してください 」
キラリと輝く指輪と共に、夢のような言葉が私の胸へと突き刺さった。