蜜月なカノジョ(番外編追加)
目まぐるしく変わっていく状況に何がどうなっているのかもわからない。
どこからか悲鳴と激しい殴打音が響いてくるけれど、私の視界はそれを捉えることができない。
…それでもただ一つだけ。
たった一つだけはっきりと私の瞳が映しているもの。
それは_____
「ナ……オさ…っ」
「杏っ!! もう大丈夫だから! 何があっても絶対に守るから____!」
もう何が何だかごちゃごちゃで何をどうすればいいのか、これからどうすればいいのかもわからない。
けれど、ギュウッと痛いほどに震える体を包み込んでくれる温もり。
私にとってはただ一つの…希望。
「なおさっ……ナオさん、ナオさん、ナオさんナオさんっナオさんっ!!!! うわあぁあああああああんんっ!!!!」
「杏っ…ごめんな…ごめんね、ごめんっ…! 間に合って、よかった…!」
息もできないほどに抱きしめられた腕の中で、私はただひたすらにその名前を叫び続けた。