蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…本当に、あなた達一人一人が私の誇りよ。これからもよろしくねっ!」
そう言ってナオさんが投げキッスをすると、またしても黄色い声が上がった。
そうして今一度私の方に振り返ると、ナオさんはケースから輝く指輪を取り出し、私の薬指へと通していく。
いつの間にサイズを調べていたのか、面白いほどにするすると通っていくと、やがてぴたりと根元へと収まった。
「返品不可だから。絶対に逃げられないぞ?」
悪戯っ子のようにそういうナオさんに、負けじと私も返す。
「それはこちらのセリフです。やっぱりいーらない!って言われても、絶対絶対責任取ってもらいますから!」
「そんなの、こっちからすれば願ったり叶ったりだ」
顔を見合わせてクスクスと笑うと、真新しい指輪を付けたばかりの手をグイッと引っ張られた。
「よし、俺たちはここでお暇しよう」
「えっ? でも…」
「皆には証人になってもらったんだし。今更二人で抜けたって文句言う奴なんていないだろ」
そう言うと、ナオさんはキャーキャーと大盛り上がりの一同に振り返る。
「皆~、今日の支払いはぜーんぶ済んでるから。好きなだけ飲み食いしてちょうだいな。ただし、二日酔いでダウンしないようにだけ気をつけるのよ~。…ってことで私達はここまでで失礼するから。またね~!」
男性陣も女性陣もうっとりするほど妖艶に微笑むと、全員がポーッとしている間にあれよあれよと店の外へと連れ出された。
「ったく、あんの野郎、全部を私に丸投げしたわねぇ~!!」
葵さんがそんなことをぼやいていたとかいないとか。