蜜月なカノジョ(番外編追加)


俺にとって「ナオ」だろうと「直斗」とだろうとそれはどうでもいいこと。
どちらであろうと自分であることに変わりはないし、杏はそんな俺の全てを受け入れてくれている。愛してくれている。

その事実だけで充分だった。


だがその一方で余計な厄介事を起こしたくないと思う自分もいる。
俺の目には杏以外は映らないし、この気持ちが揺らぐことは一生ない。
そして杏も同じ気持ちでいてくれるということも信じている。

だからといって周囲がそうかと言えば決してそうではない。
もともと俺はそういった自分本位な女達に嫌気がさして女装を始めたのだ。
理不尽な嫉妬で杏を傷つけるようなことは絶対にさせたくないし、絶対に許さない。

常に行動を共に出来るときなら「直斗」として杏を守ることはできるが、仕事中だけはそういうわけにもいかない。まぁ今更ボヌールのスタッフがそんな愚かな行動に出るとは考えてもいないが、色んなことを総合的に考えて、ここではナオのスタイルを維持していくことに決めた。

そもそも「ナオ」として始めた店だ。
自分にとってもそうすることがより自然なことだと思えた。

< 391 / 400 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop