蜜月なカノジョ(番外編追加)

「あの、あのっ………ちょっとすみませんっ!!」
「あっ!!!」

顔を真っ赤にしておろおろしていた杏がおもむろに目の前のグラスを掴んで一気に流し込んだ。
本人はノンアルコールが入った自分のグラスを手にしたつもりだったが、軽くパニックを起こしていたせいで隣のグラスを掴んでしまったことに気付いていない。

止める暇もなく流し込まれたそれは…スクリュードライバー。
ジュースのような味わいはアルコールに弱い人間でも飲みやすくあるのだが、案外度数が高いことでも知られている。
狙った女を酔わせるにはもってこいで、通称「レディキラー」とも呼ばれるほど。

まだグラスにほとんどが残っていたそれを一気に飲み干すと、杏は口元を拭いながらプハーッと息を吐き出した。

「杏、大丈夫なの?」
「…え? 何がですか?」
「…いや。まぁ…私がいるから大丈夫か」
「 ? 」

きょとんとする姿がなんとも愛らしく、このままここで押し倒せたらどれだけいいかと思う。
そんな下心すら見透かしたような葵の視線を背中で跳ね返しながら、にっこり笑って杏の頭を撫でた。途端にポッと頬を染めてはにかむ姿がまた堪らない。

あぁ、今すぐにでも帰ってベッドに直行したいっ!!

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