蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…本当に? 本当に置いていかないですか?」
「いくわけがないでしょう? まさか私がどれだけ杏を好きかまーだわかってないの? そんな悪い子には帰ったらお仕置きしなきゃね」
ふふっと指の背で杏の頬をなぞると、見ていた女性陣がきゃあっと湧く。
わくわくと、何かを期待するようなその目に応えてやっても一向に構わないのだが、さすがにこれ以上はオーナーとして線引きしなければと自制心を働かせる。
それに我に返った杏に泣かれたら困るしな。
「じゃあ帰_____わっ?!!」
立ち上がらせようと手を伸ばした瞬間、ドスッと凄い勢いで杏が俺の体目がけてダイブしてきた。
何の構えもしていなかった体は勢い余って後ろに倒れてしまう。
和室だったのが幸いだが、杏らしからぬ行動に呆気にとられてしまった。
「杏? どうした____」
「私もナオさんのことが、だいすきです…」
「___っ?!」
倒れ込んで腹の上に乗り上げる形になった杏が、へにゃりと笑ってそんな愛の告白をする。
酔っ払いとはいえ全く想定外の行動に、ガチンと俺の体は硬直した。