蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ナオさんこそわかってないですよ…? 私が、どれだけナオさんのことを好きなのか」
「あ、杏…?」
ドクドクドクと心臓があり得ないくらいに脈打っている。
そんな俺の動揺を知ってか知らずか、ふふっと笑った杏の手がゆっくりと伸びてくる。そうして俺の頬に触れると、目を細めて華奢な指が愛おしげに何度もそこを撫でた。
…こ の 破 壊 力 は 、ヤ バ イ 。
「……ナオさんも、直斗さんも、どっちも大好き。だーーーいすき。…ううん、愛してます。ナオさん…愛してる…」
「あ…、んっ…!」
徐々に大きくなる愛しい女の顔をスローモーションのように見つめながら、やがてふわりと触れた柔らかな感触に、口ずさみかけた彼女の名前ごと呑み込まれた。
直後完全にフリーズしてしまった俺の頭にギャーーッ!!という悲鳴に近い歓声が響き渡るが、面白いほどに右から左にすり抜けていく。