蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ふぅ…あったかい…」
寒さと恐怖で芯から冷え切っていた体が末端から温められていく。
ほんの少し前まで絶望感でいっぱいだったのに、今はこうしてたっぷりのお湯に浸かれているのがなんだか不思議だ。
…とはいえまだ何にも解決していない。わからないことだらけだし、これから先どうなるんだろうっていう不安もある。
…けれど。
自分の両手をじっと見つめる。
この手で…ナオさんに助けを求めた。
強く強く抱きしめてくれたあの大きな体を、この手でギュッと握り返した。
そこに「怖い」という感情はどこにも存在しなかった。
「……」
どうしてだかそんな自分の手がとても愛おしく思えて。
抱きしめるようにその手を引き寄せると、心を落ち着かせるように静かに目を閉じた。