蜜月なカノジョ(番外編追加)

「……いつから…? ナオさんはどうして女装なんか…。私が、男性恐怖症だったからですか…?」

最後の質問にぱっと顔を上げると、ナオさんが力強く首を振った。

「それは違う。…全く違う、とは言えないかもしれないけれど、私が女装するようになったのは杏と出会う前のことよ。もう4年くらいになるかしら」
「…ナオさんは…男の人のことが…?」

複雑なことなど全くわからない私にはそんな単純な理由くらいしか思いつかない。もしかしてナオさんは男性を愛する人なんだろうかって。
けれど予想に反してナオさんはまたしても首を横に振った。

「それも違う。こんなナリしてるけど、その辺に関しては私は完全にノーマルよ」
「え…じゃあ…」
「好きになるのは女の人だけ。でもね、もう正直そういうのもどうでもいいって思ってたの。杏とはまた違うけど、女の人なんてもうこりごりって思って。でも…自分で言うのもなんだけど、男のままじゃ嫌でも寄ってくる人はいるから。そういうの全てが煩わしくなって、だったらいっそのこと自分が女になればいいんだって。そう思ったのが始まり」
「……」

女の人が嫌だから女になる。考えもしなかった発想に驚きを隠せない。

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