蜜月なカノジョ(番外編追加)
「じゃあどうしてですか? どうして私を…。私が男の人に興味がないから、ですか?」
ナオさんは女の人はもうこりごりだと言った。
ならば私を傍に置いている理由は何?
男性恐怖症の私はナオさんにとっては無害で、いざとなれば彼女役としてカモフラージュに使えるとでも思っていたのだろうか。
それが一番しっくりして、それを肯定されたらと思うと心がずしりと重くなった。
「…そんなんじゃないわ」
「じゃあどうしてっ…!」
「決まってる。杏のことが誰よりも大事だから。好きだから」
「えっ…」
予想してもいなかった答えに呼吸が止まった。
「もう女なんてこりごりだと思ってた。…でもそんな中で杏に出会った。杏に会う度に私の心は癒やされて、ずっとずっと傍にいたいと思うようになった。守りたいと思った」
まるで愛の告白のような言葉の連続に、ドクドクと鼓動が速くなっていく。
「それ、は、あれですよね? 異性としてじゃなくて、ただ単に…」
「一人の女性としての杏が好きよ」
「…っ!」
よどみなく返ってきた言葉に、堪らずギュッと両手を握りしめた。
見た目はどこからどう見ても女性になっているのに、その真剣な眼差しは私の知っているナオさんとは違っていて。
目の前にいるナオさんの後ろに「本当のナオさん」がいるように見えて___