蜜月なカノジョ(番外編追加)
新たに始まる
「おはようございます」
「あ、おはよ~。いつも早くから来てほんとに感心ね~。昨日はどうだった? ふふっ、ナオの奴やっぱり大号泣…って、どうしたのっ?!」
お店に入ってきた私の顔を見るなり店長の葵さんが驚愕している。
「目が腫れてるじゃない! 一体どうしたのっ?!」
「そ、んなに目立ちますかね…?」
「お目々ぱっちりの杏ちゃんがそんな顔になってれば誰だってわかるわよ! こんなこと今まで一度だってなかったのに…何かあったの? …まさか、ナオと___」
メイクで誤魔化したつもりだったけど、どうやら全く効果がないらしい。
今日の接客は大丈夫だろうかなんて妙に冷静なことを考えながら、私は自分を心から心配してくれている葵さんを見た。
そういえば葵さんはナオさんと大学の同期だったと言っていた。そしてナオさんが女装を始めたのは4年くらい前からだと。ということは…必然的に「男」としてのナオさんを知っているということになる。
彼女は最初から全てを知っていたのだろうか…?
「どうしたの、杏ちゃん?」
「……葵さんはご存知だったんですか?」
「え?」
「…ナオさんが……その、…」
「 ! 」
もごもごと言い淀んでしまった私を見てすぐに何かを察したのか、「ちょっとこっちにいらっしゃい」と言ってそのままスタッフルームへと連れて行かれた。