蜜月なカノジョ(番外編追加)
「あー、おいしかった! やっぱり杏の作るご飯は世界一おいしいわ。…こうしてまた杏の手料理が食べられて本当に幸せ。…本当に」
「ナオさん…」
今日はいつも以上に大騒ぎしながらあっという間に準備しておいたご飯を平らげると、またしてもナオさんは目を真っ赤にしながら噛みしめるようにそう呟いた。
「ナオさん…」
「なぁに?」
こうしていつもと変わらないナオさんを見ていると、互いにその話題に触れなければあのことをなかったことにするのはいとも簡単に思えた。
けれど…
「あの、これからのこと、なんですけど…」
「……うん」
核心に触れた私に、これまでの喜びが一転、ナオさんの表情が強ばった。
少し続いた沈黙に耐えられなくなったのか、先に口を開いたのはナオさんの方で。
「…杏は…どうしたい? 私は…………杏の気持ちを尊重したいと思ってる」
たっぷり溜めた後にそう言ってくれたナオさん。その長い溜めの中に言いたい本音がぐっと呑み込まれたのだろうことは私にもわかった。
「……私は…」
ゴクンと固唾を呑んだのは私なのか、それともナオさんなのか。