蜜月なカノジョ(番外編追加)
「ほんとに情けないっ…でも、それ以上に幸せでたまらない」
「…え?」
「いつかばれる日が来るって恐怖が常にあった。その時に杏の全てを失うことになるかもしれないって。それでも、どうしても杏を手放すことができなかった私を…卑怯者の私を…杏はそれでも受け入れようとしてくれる。これ以上に幸せなことがある?」
「……」
グイッと涙を拭って深呼吸を繰り返すと、ナオさんは潤んでキラキラの瞳で私を見つめた。
「…杏、大好きよ。心の底から、本当に大好き」
「…っ」
「もう女の子なんてこりごりだって思ってたけど…もう一度だけ好きになったのが杏で本当に良かった。私は世界一の幸せ者よ」
「ナオ、さん…」
「…ふふっ、やだ、杏も泣きすぎ」
「だっ、て…!」
「うん。でもま、いっか。今日くらい2人で好きなだけ泣いちゃいましょ? あ。なんなら今日こそ一緒にお風呂入っちゃう?」
「えぇっ?!!!!」
男だとばれた上で一体何を言い出すのか。とんでもない発言に思わずガッタンと立ち上がった私に、ナオさんは大笑いしながら「嘘に決まってるでしょ」と涙を拭った。