蜜月なカノジョ(番外編追加)
すき キス kiss
「…よし、こんなものかな」
フーッと額を拭って完成したばかりのケーキを見下ろす。
うん、我ながら上出来だ。
「喜んでくれるといいなぁ…」
と言いつつ、大号泣しながら喜んでくれている姿しか思い浮かばないのだけど。
「ふふ、早く帰って来ないかな~」
テーブルに並べられた料理を見ていると、あの騒動がなんだか嘘のように思えてくる。
ナオさんの秘密を知ってから早一ヶ月。
すったもんだの大騒動劇は一体なんだったんだ? というくらい、私たちの間には「いつもの日常」が戻っていた。
「実は男だった」という事実を知ったことを除けば、それ以外のことは本当に何一つ変わらない。
忙しいナオさんのために料理をつくって、大袈裟なくらいに歓喜しながらそれを食べてくれる。そうして同じ布団でくっついて(くっつかれて)眠る。
相変わらずぼよんぼよんハグもされるし、ほっぺにチューだって日常茶飯事。
女としての私を好きと言われて、これから今まで通りに接することができるんだろうかと内心不安もあったけれど、そんな心配をしていたことがバカバカしいくらい、本当に今までと変わらない。