蜜月なカノジョ(番外編追加)


「おいしいっ! 最高っ! あーもう死んでもいいくらいに幸せっ!! あっ、ダメダメ! 杏と一緒にいられるのに死んじゃったら困るわっ。今のナシナシっ!!」

それからのナオさんのテンションはそれはそれはもう凄かった。
号泣して喜んでくれることは普通に予想がついたけど、現実はそれを遥かに凌駕するほどの歓喜っぷりだった。興奮し過ぎて血管が切れちゃうんじゃないかと本気で心配になるくらい。

「はぁ~~っ、もうお腹いっぱい幸せいっぱい…」

結局、準備しておいたかなりの量の料理をほとんど平らげてくれたナオさんは、手作りケーキを1ピース食べ終えたところでどさりとソファーに体を沈ませた。さすがに苦しくなったんだと思う。
無駄な肉など少しもない、スタイルバツグンの体のどこにあれだけの量のものが入ったのだろうと不思議でしょうがない。

「お水飲みますか?」
「んーん、大丈夫。それより杏、こっちに来て」

背もたれに体を預けながら手招きする姿は妙に色っぽい。
これで女性じゃないというのだから驚きだ。

「あの、その前にこれを…」

トントンと示されたナオさんの隣ではなく正面に立った私を、ナオさんは不思議そうに見ている。私は軽く深呼吸すると、後ろ手に持っていたものを静かに差し出した。

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