蜜月なカノジョ(番外編追加)


…あれ…? 私は男性恐怖症なのに。
指一本触れるだけで鳥肌が立っておさまらないのに。
密着するなんてしたら多分失神してしまう。

それなのに…そんな私がどうしてキスなんかしているんだろう?
ううん、どうしてできているんだろう?

「杏、好きだ…」
「っは、んっ…!」

だんだん息苦しくなって空気を取り込もうと口を開いた瞬間、中に入ってきたのは酸素…ではなくなんだか生温かい柔らかな感触。
既に自分の足で立っていることすらできない状態の私は、ただただ必死に目の前のシャツを握りしめて寄り掛かっているだけ。その手の触れた場所からドクンドクンと鼓動が響いてくるけど、それ以上に自分の心と体が大変なことになっていて、もう何がなんだかわからない。
ギュッと閉じた目の奥でチカチカ星が踊ってる。


あぁ、何これ……気持ち、いい…
こんなに気持ちいい感触、生まれて初めて…
それにこの音、何…? 響く水音が脳天を突き抜けていく。

全部が蕩けそうなほどに気持ち良すぎて…もう、何も…考えられない…


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