蜜月なカノジョ(番外編追加)
「杏、ほんとどーしたの? 顔が赤いわよ? 熱測った方がいいんじゃない?」
「えっ? い、いえっ、大丈夫です! 今日はちょっとあったかいですね~、あはは!」
「…そう? むしろちょっと肌寒い気がするけど…」
「あ…あはははは!」
いかんいかん! 変な夢なんて早く忘れてしまおう!
せっかく普通に戻れたのに、妄想が原因でギクシャクするなんてごめんだもんね。
「じゃあ先に行くわね。今日はちょっと帰りが遅くなると思うから」
「わかりました。お仕事頑張ってくださいね」
「んー、今日はカフェの方に顔が出せそうになくって寂しいわぁ~」
見送りにきた玄関先でムギュッと日課であるハグをされる。この胸がニセモノだとわかっていても案外気持ちいいもんだな~なんて妙なことを考えてしまったり。
「あはは、帰って来ればまた会えますよ。ご飯作って待ってますから」
「…そうね。1分でも1秒でも早く杏に会うために頑張ってくるわ」
「はい」
ハグが解除されるとすぐにほっぺにチューもいつも通り。
『直斗さん』を変に意識しなければこんなにも普通に受け入れられてしまう自分が不思議でしょうがない。
「…ナオさん?」
ふと。キスが終わってもまだナオさんの手が私の頬に置かれたままなのに気付く。妙に真剣な面持ちのナオさんに、どうしたんだろう?と首を傾げようとした、その時…
チュッ。
「………………え?」