蜜月なカノジョ(番外編追加)
「…あ。このリップ可愛い…」
おまけにこんな風に化粧品が気になったのなんて一体いつぶりだろう?
「その色とても素敵ですよね。もしよろしかったら付けてみませんか?」
「え? あ、あの…」
「お客様はとても色が白くていらっしゃるのでよくお似合いになると思いますよ」
こんなの店員さんのおべっかだってわかってるのに。
それでも嫌な気がしないのはどうしてだろう。しかもいつの間にか言われるままに椅子に座ってしまってる自分がいる。
「……うん、やっぱりよくお似合いですよ! 正直想像以上でした」
「そう…ですかね?」
鏡の中の自分をじっと見つめる。
いつもはノーメイクに近いくらいのナチュラルメイクばかり。一応接客業ということで気持ち程度のリップを塗ってはいるけれど、こんなしっかりとしたピンク色が唇にのるだなんて初めてのことだ。
…でも案外自分に似合ってるような気がする、なんて。