koi × koi
第7章 繋がる思い
うるさいくらいに鳴り響く鼓動の音を雪人に聞かれないように、陽は雪人が被せてくれたジャケットを身体に引き寄せた
ーー・・・
重い沈黙が車内にたちこめる
雪人は窓の外に顔を向けて、黙っている
「・・・あ、あの、、、」
不安そうな、か細い声で、陽が声を漏らした
「・・・」
何も答えてくれない雪人に、陽は眉を歪めて俯いてしまった
窓越しにその様子を見た雪人は、小さく息を吸って
「・・僕は、、」
外の騒音にかき消されそうなほど小さな声で、しかしはっきりと言った
「・・今夜は、あなたを帰したくない。」
雪人は陽の言葉を待たず、エンジンをかけて車を発進させた
走っている間も車内は沈黙のままで
(・・ど、どうしよう、、)
さすがの陽もこれから起こり得ることは安易に想像ができた
緊張で身体が強ばり、ぎゅっと雪人のジャケットを握りしめた
「・・柊木さん、脱がせた僕が言うのもなんですが、風邪を引いてしまうといけないので、服を整えて僕のジャケットを着てください」
今までとは違う、優しい声色でそう言われて、陽は大人しくその言葉に従った