百花繚乱 社内ラブカルテット
あまりの動揺で掠れた声は、喉に引っかかって悲鳴にはならなかった。
私は目を剥いたまま、ゴクッと喉を鳴らす。
とにかく落ち着けとばかりに、私は一度大きく深呼吸をした。
それでも胸の鼓動は、さっきまでと比べ物にならないくらい、怒涛の勢いで加速している。
一体、何がどうしてこうなった。
鈍痛の残る頭を抱えて、私は昨夜のことを思い起こそうとした。
私、古川帆南(ふるかわほなみ)。
世界でも有数のメガバンクに勤務する二十九歳。
今年勤続七年目の、ごく普通のOLだ。
私の勤務先は、東京のオフィス街ど真ん中にある、重厚な本店ビル。
その一階にある外国為替課で、後方事務と窓口業務を兼務している。
総勢二十人の課員の男女比率は、三対七と言ったところ。
派遣社員さんやパート社員さんを除くと、私は年齢的にも経験的にも上の方の立場で、二年前から外国為替課チーフの肩書きがつくようになった。
入行四年目の頃から新人のOJTも担当するようになり、今育てている高村紀子(たかむらのりこ)ちゃんが、愛弟子四人目。
……と、彼女を思い浮かべた途端、手探りで手繰り寄せていた昨夜の記憶が、一気にパアッと繋がった。
私は目を剥いたまま、ゴクッと喉を鳴らす。
とにかく落ち着けとばかりに、私は一度大きく深呼吸をした。
それでも胸の鼓動は、さっきまでと比べ物にならないくらい、怒涛の勢いで加速している。
一体、何がどうしてこうなった。
鈍痛の残る頭を抱えて、私は昨夜のことを思い起こそうとした。
私、古川帆南(ふるかわほなみ)。
世界でも有数のメガバンクに勤務する二十九歳。
今年勤続七年目の、ごく普通のOLだ。
私の勤務先は、東京のオフィス街ど真ん中にある、重厚な本店ビル。
その一階にある外国為替課で、後方事務と窓口業務を兼務している。
総勢二十人の課員の男女比率は、三対七と言ったところ。
派遣社員さんやパート社員さんを除くと、私は年齢的にも経験的にも上の方の立場で、二年前から外国為替課チーフの肩書きがつくようになった。
入行四年目の頃から新人のOJTも担当するようになり、今育てている高村紀子(たかむらのりこ)ちゃんが、愛弟子四人目。
……と、彼女を思い浮かべた途端、手探りで手繰り寄せていた昨夜の記憶が、一気にパアッと繋がった。