春色のletter
夜8時頃、中野駅から徒歩15分の、15階建てのマンションに着いた。


エレベーターで7階へ上って、左へ曲がり、突き当たりが佐伯さんの部屋だ。


まずは小さな門の様な扉があって、その奥にドアがある。


小さなエントランスだ。


それを見るといつも不思議な感じを受ける。


高級感の演出なのかもしれないが、ここまで室内にすれば広くなるのに…と思う。


それが「デザイン」というモノだけど、私はつい実用に走ってしまう。


そんなところが、デザイナーに向いてないのかもしれない。


(まあ、元々イラストレーターだし…)


「どうした?ほら、入れよ」


「あ、はい」


私は佐伯さんに押されて家の中に入った。
< 12 / 487 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop