春色のletter

あと、私の仕事の失敗のことについて触れていた。


『夜梨子はイラストを描く時、納得いくまで描き直していたよね?仕事も同じようにすればいいのに』


簡単なアドバイス。


でも、私をよく知っているハルからのアドバイスは、私の心に、あの頃の想いを思い出させた。


「そうだった…。昔はそんな気持ちを持ってたよ、私」


それにハルの手紙によって、既に私は、あの訳のわからない孤独感が消えていたらしい。


邪魔者がいなくなった私はその時、またやる気を起こしていた。


最後に、『手紙は転送されるから、また返事をくれるならそのままの住所でいいよ』と書いていた。


私はもちろん、返事を書いた。
< 166 / 487 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop