春色のletter

「おや?また出てたのかい?なんかうれしいことでも?」


彼女は私の顔を見るなりそう言った。


「ううん、なんでも!」


私は、溢れようとする笑顔を一生懸命真顔にして、片手を振った。


「おかしな娘だね」


砂羽さんはそう言って、腰に手を充てたが、私はその横を抜けるように2階へ小走りに逃げたのだった。


部屋に逃げ込むと胸を押さえながらホッとした。


私は着替えもせず、そのままソファに倒れ込んだ。


クッションに顔を埋めていたが、上を向いた。


胸がドキドキしている。


その鼓動が落ち着くまでそのままでいた。
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