春色のletter
月曜日の朝。
私は佐伯さんのデスクの前に立っていた。
彼は私のプレゼン資料を黙って見ていた。
ファイルをパタンと閉じた。
「夜梨」
「はい」
彼はファイルを置くと、私を見上げた。
「何があった?」
「昔の私に戻っただけです」
「はっ!言うねえ」
佐伯さんが唖然としたような、変な笑顔になった。
私は笑顔で返した。
「後は任せろ。彼女のアポが取れ次第、プレゼンだ」
「わかりました」
一礼して自分の席に戻る時、周りの視線が集まっているのに気が付いた。
その視線たちは、少しの驚きと、少しの笑顔が混じっている気がした。