春色のletter
「じゃあ、あなたの仕事を見せていただけますか?」


彼女がまっすぐ私を見て言った。


「はい」


私はプレゼン資料のファイルを渡した。


「まずは、感じたいんで、読ませてください」


彼女は、口を開きかけた私を右手で軽く制した。


「はい」


私と佐伯さんは黙って、彼女が資料に目を通すのを待った。


まずは1ページ目に、デザインのラフを載せた。


その後に説明をつけたが、彼女はその1ページ目から視線を動かさなかった。


まるで時間が止まったようにそのラフを見つめていた。


横で佐伯さんが余裕な感じで座っていたが、実はそわそわしているのが長年一緒の私には手に取るようにわかった。


でも、私は意外と落ち着いていた。
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