春色のletter
その数日後の日曜日、イラスト同好会の後輩に誘われて中央公園のフリーライブに行ってみた。


10組くらいのバンドが野外ホールで演奏をするらしい。


野外ホールの前には、木のベンチが半円状に並んでいた。


適度に空いているので、真ん中辺りに二人で腰掛けた。


少し風が冷たかったけど、雲一つない青空の下で気持ちがよかった。


「朋子ちゃん、音楽好きなんだ」


「そうですね~。部活には軽音楽ないからイラストに入りましたけど、バンドも好きなんです」


「へえ、何かやるの?」


「私はギターです。3年の文化祭では友達とバンドやろうって言ってるんですよ」


「そうなんだ」


私より10cm低くて痩せているけど、ギターを持ったのを想像すると、似合っている気がした。


ふと、ハルのバンドを思い出した。


彼も3年の時、文化祭でバンド演奏をやった。


ハルはドラムスで、みんなより少し引っ込んだ場所で演奏していたけど、私は、そのスティックを振る彼ばかりみていた。


彼には見に行ったことは言ってない…
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