春色のletter
最後のバンドの演奏も終わり、司会の女性が盛り上がりの中、イベントの終了を告げた。
「ハル!行こうぜ」
彼のバンドのメンバーがハルを呼んだ。
「おお」
ハルが立ち上がった。
私と朋子ちゃんも立ち上がった。
「今から打ち上げだから。じゃあ」
彼は朋子ちゃんを見た後、私を見た。
「う、うん。じゃあ」
私は手を挙げようとしたけど、はっきりと挙げられなかった。
ハルがその手を見ていた。
「じゃあ、柴田先輩。私も文化祭で演るから見に来てください」
「おお、行くよ」
「じゃあ!」
朋子ちゃんが手を振った。
「おお、じゃあな」
朋子ちゃんに促されるように、ハルは背を向けた。
声をかけたかったけど、言う言葉が見つからなかった。