春色のletter
「竹村さん、あなた、本当に私の音源を聴いてくれたんですか?」
「ええ、何度も聴きました」
「それで、このデザインですか?」
「……はい」
目の前に座る彼女はため息をついた。
「…すみません。この人には頼めません。やっぱり佐伯さん自身でやってもらえませんか?」
「あの…」
「わかりました。ご期待に添えなくて申し訳ない」
佐伯さんがその後を引き取った。
「竹村、おまえは戻っていろ」
彼は笑顔を作ってそう言った。
「…はい」
私は一礼すると会議室を出た。
そして、デスクに戻る気にもなれなくて、休憩室へ来たのだ。