春色のletter
武蔵野館に着くと、私たちの話し声に砂羽さんが顔を出した。


「おや、お友達かい?」


「ええ、仕事で知り合ったアーティストの岡田淳さんです」


「こっちは、大家の相武砂羽さん。星影さんのお祖母様」


「あ、そうなんですか。はじめまして。今、KADOを出てきたところなんです」


「ああ、そう。楽しんだかい?」


「ええ、すっごく美味しいカクテルをごちそうになりました」


砂羽さんは、淳さんの表情を見てうなずいた。


「じゃあ、この娘も星影もよろしくね」


砂羽さんはそう言うと軽く手を挙げて部屋に戻った。
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