春色のletter
そして、1ヶ月後。


美沙ちゃんが退院する日。




「夜梨、よくがんばったな」


「いえ、みんなのチームワークですよ」


佐伯さんのお褒めの言葉通り、全ての仕掛かりの仕事を見事やり遂げていた。


「村山も一人前になったか…」


「ええ、ちゃんと『できる』人でしたよ」


「おまえのサポートが良かったんだよな。俺より育てるのうまくないか?」


「佐伯さんが、各自の自主性に任せ過ぎなんですよ。道を示してあげないと」


「…おいおい、俺が説教されるようになっちまったのか?」


彼が頭をかいた。



「私だって大きくなってるんです」


「お腹がか?」


ゲシッ!


無言でみぞおちにパンチ。


「痛ってぇ…」


「もう、親父ですね」


私はにやっとした。


「はっ、言うねえ」


そう言って彼は苦笑していた。
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