春色のletter
「よりこねえちゃん」


その声に振り向くと、病室から身だしなみを整えた美沙ちゃんが出てきた。


「お、退院おめでとう♪」


私は美沙ちゃんのほっぺを両手で柔らかく包むとぷにぷにとした。


「あのね、もうわたし、はしれるんだよ」


「うん、そうだね。良かったね~」


美沙ちゃんが私に抱きついてきた。


彼女を抱きしめていると、沙也さんが荷物を抱えて出てきた。


「持つよ」


「じゃあ、これお願いね」


佐伯さんが、彼女の荷物を受け取った。


「さあ、お家へ帰ろうか」


「うん」


私たちは、ナースステーションでお世話になった看護師さん達に挨拶をして、入り口まで見送られると、タクシーで病院を後にした。
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