春色のletter
「え?」
私はゆっくり振り返ると、彼女はお澄まし顔でまた雑誌に視線を落としたが…
「ぶっ!…あ、はっはっはははは!!」
とうとう吹きだしてしまった。
「あ、もしかして……ずっと、見てた?」
彼女は口を押さえたまま大きく首を縦に振っていた。
私は、彼女に背を向けると、力なく手を挙げて部屋へ向かった。
鍵を開けてドアを閉めても、かおりさんの吹き出し笑いが聞こえていた。
「どうせ、不器用ですよ~」
口ではそう言ったが、春色の手紙を見て、私は笑顔だった。
バッグも置かずにソファにどかっと座ると、その手紙を明かりにかざした。
透ける訳じゃないけど、その中が暖かく見えた気がした。
レターオープナーで丁寧に開けて、3枚の便せんを取り出した。