春色のletter
「はい」


「父は、…いえ、社長はかなり怒ってました」


彼女は少し厳しい表情で言った。


「え?父?」


「はい。私、娘なんです」


「そうなんですか…」


「父は小さな会社だからバカにされたと、怒っていました」


「え!?そ、そんな…違います!本当に私個人のミスで、そんなつもりは本当にありません」


「本当に?」


「はい」


彼女は、しばらく私の表情を真っ直ぐに見つめていた。


「とりあえず、今日は、父もお会いしません。お帰りになってください。あなたが本気なら、誠意を見せてくださいね」


そう言って彼女は丁寧に頭を下げた。


「わかりました。ありがとうございます」


私は再度、深く頭を下げた。
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