春色のletter

それでも帰りがけ、ついKADOに足を向けかけた。


(いけない…すぐ人に頼ろうとする)


家の方に向きを変えると、早足で歩き出した。


武蔵野館に着いて、軽く郵便受けを覗くと、何かが入っているのが見えた。


「え?」


慌てたので、鍵が開かなかった。


「どうしたんだい?」


「あ、ううん…」


部屋から顔を出した砂羽さんに、慌てて首を振った。


ごまかす様に、何でもない風にやったら鍵は開いた。
< 403 / 487 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop