春色のletter
それでも帰りがけ、ついKADOに足を向けかけた。
(いけない…すぐ人に頼ろうとする)
家の方に向きを変えると、早足で歩き出した。
武蔵野館に着いて、軽く郵便受けを覗くと、何かが入っているのが見えた。
「え?」
慌てたので、鍵が開かなかった。
「どうしたんだい?」
「あ、ううん…」
部屋から顔を出した砂羽さんに、慌てて首を振った。
ごまかす様に、何でもない風にやったら鍵は開いた。