春色のletter

ゆっくりと開くと、まずは、『ごめん』という文字が見えた。


ドキッとしたけど、それはひと月も返事を書けなかったことのお詫びだった。


詳しくは書けないけど、今いる場所が、とある業者にバレて、みんなで逃避行ということで、ちょっと手紙を書くような状況じゃなかったらしい。


今は、みんなを匿ってくれているNPOの用意してくれた別の場所に移ったらしい。


これからはまた手紙を書けるから心配しないようにと書いてあった。


内容はそれだけだったので、便せんはたったの2枚だったのだ。


消印を見ると八幡になっていた。


(実家…?)


「ま、いっか」


私は、それよりまた繋がったコトで胸がいっぱいだった。


とりあえず、仕事で失敗してしまったことを軽く書いた。


心配しないように、何とかなるように書いて。


書き終わった手紙の封をすると、机にそっと置いた。


「よし!またがんばるぞ!」


私は両手を伸ばしてそう呟いた。
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