春色のletter
それから、毎日、電話を架けた後、諏訪山ワインの本社へ行った。


「申し訳ございません。今日も、社長は外出しております」


顔なじみになった受付嬢の諏訪山実久さんが、今日も同じ台詞を繰り返した。

彼女は諏訪山社長の4人の娘の末っ子だった。


「では、また伺います」


私は頭を下げた。


「あの…」


「はい」


「この間置いて行かれた資料を、父は見ていました」


私はプレゼンするつもりの資料を彼女に預けていた。
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