春色のletter

エレベーターが6階に着くと、一人の女性が待っていた。


「竹村様、どうぞこちらへ」


IDを見ると「秘書室長 諏訪山実緒」と読めた。


(三女の人だ)


「実久から聞いていますよ」


社長室に通されるのに付いていく時、彼女はそう言って笑った。


「大変お世話になっています」


「こちらこそ、よろしくお願いいたします」


そこまでの会話で、彼女は社長室のドアをノックした。


「どうぞ」


中から少し低めだけどよく通る声が聞こえた。


「アトランティックデザインの竹村様がお見えです。どうぞ」


彼女に促されて社長室に入った。
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