春色のletter
「…ええ」


「私ね、ハッとしたんですよ」


「え?」


「正直、すっかり忘れていたんです」


社長はロゴを優しく手でさすった。


「だから、このロゴを見た時、初心に戻って、そして、かつ、未来が見えた気がしました」


「ありがとうございます」


「それに、これからのCI戦略も、数年後どころか、100年後でも続けておかしくない、しっかりしたビジョンが描かれている。こちらこそ、ただのデザイン会社だと見くびっていたのを恥じました。申し訳ない」


「デザインには意味が必要なんです。その結果、そこまで考えただけですから」


「いやいや」


社長は首を振った。
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