春色のletter
「乾ぱ~い!」


佐伯さんの発声によって、この仕事のお祝い的打ち上げが、会社近くのビルの最上階の店で催された。


「うちのセクションで、佐伯さん以外でCIをやり遂げるなんてすごいです!」


相澤さんが私の横に飛び込んできた。


確かに、CIはそれ専門で会社が成り立つくらい大変で、そうそうある仕事でもない。


うちの会社がさりげなくその仕事を取っているのも、大手の仕事を受けているうちに、ついでにやってくれるかみたいなニュアンスが多い。


ただ、大手の会社なら、高級音響機器だけとか製品ごとにCIを設定したりできるけど、今回は会社自体のCIだから、本当は佐伯さんクラスの仕事だった。


それを成し遂げられたことは、私を引っ張ってくれた佐伯さんへの恩返しと、そして自分自身の成長だった。
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