春色のletter
今度のことで、社長が忘れていた起業時の想いを思い出したわけだけど、そのことが、完全手作りのワインのラインの復活に繋がったらしい。


確かに、CIの将来のビジョンにも、彼らの想いを載せた。


企業の地位の確立のために、代表的な商品のブランドの創出。


それには、高級ワインのラインが必要だと…さりげなく書いていたのだ。


高級ワイン?


当然、手作りのワインということになる。


本田さんの感謝はそこだった。


『工場の連中も大喜びなんだ。本当にありがとう。本来なら直接伺ってお礼を言いたいところだけど、準備で大忙しでね』


「いえ、私もうれしいです」


彼なりに、深い感謝だというのはよくわかった。


「できたら必ず飲ませてくださいね」


『ああ、もちろんだ』


電話を切ると、何となくわかったのか佐伯さんがこっちを見て微笑んでいた。
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