春色のletter
「何をやってるんだろう…私」
珈琲カップを片付けると、デスクへ戻ることにした。
途中、化粧室へ寄ったが、手を洗っていると、同じセクションの同僚の声が聞こえてきた。
私は思わず個室へ戻った。
「竹村さん、ダメだったみたい」
「やっぱり?」
「なんかあの人、やる気あるのか、ないのかわかんないよね」
「なんで佐伯さん、あんなに手を掛けるんだろう?」
「ただの後輩とは思えないよね」
「でも、佐伯さんは社内一の愛妻家でしょ?そういう関係だとは思えないけど…」
「まあね。じゃあ、なんでだろう?」
そんな会話をひとしきりした後、彼女たちはメイクを直しただけで出て行った。