春色のletter
「どうした?」


「ううん、何でも」


私はその手紙を取り出すと、すぐに靴を脱いで上がった。


階段を上る時、砂羽さんが少し首をかしげていたのが見えた。


部屋の鍵を開けるのも、もどかしかった。


後ろ手にドアを閉めて、鍵を掛けると、上着も脱がずにソファに座った。


その時、バッグをまだ持ったままだったのに気が付いた。


気にせず、そのままソファに置くと、両手で手紙を見つめた。


私の出した手紙じゃない。


春色のそれを裏返した。


それは、ハルからの2通目の手紙だった。
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