春色のletter
翌日は、思ったよりも早く絵里が迎えに来た。


ドアを開けると、満面のニタニタ顔がポニーテールと身体をリズムを取るように揺らしていた。


「夜梨、まだ着替えてないの?」


「あのね…逆でしょ?もう着替えてるの?」


私は『もう』にアクセントを置いて言った。


「早く行こうよ♪」


でも、ぜんぜん聞いていない絵里だった。


「…はいはい。ちょっと上がって待っててよ」


「うん♪」


絵里を居間で揺れさせたまま、私は母に怒られない程度に早くご飯をかき込んで、着替えた。
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